2010.07.02
処女はお姉さまに恋してる ~2人のエルダー~:やったゲーム
当初、前作に乗っかった続編かと思っていたので、買う予定はなかったんですが、体験版をプレイしたら結構面白かったので購入。
なお、前作はプレイしてますが、小説は未読。
特異な性格や容姿のせいで孤立し不登校になった主人公が女学院に女装して入れられてしまう。
女学院で女性として暮らす主人公は、いろいろなトラブルなどに見舞われながらも、次第に自分を見つめ直して変わっていく。
同時に、女学院に通う生徒達も、成長していく。
おおざっぱな話の筋は、そんな感じです。
例により、えちいシーンはかっ飛ばし。その辺は知らんです。
全ルート回ってみましたが、かなり面白かったです。
作品の雰囲気が非常に綺麗で、「女学院っぽさ」が感じられる丁寧な作りでした。
シナリオもとても優しい感じで、作品の雰囲気を少しも損ねずに終幕まで連れて行ってくれました。
スタンスは前作からおそらく変わっており、前作は「女装した男の子の主人公が、閉鎖的な女学院に来る」だったのに対して、今作は「女装した男の子の主人公が来た、閉鎖的な女学院」になっているように思います。
同じように思えるのですが、これがなかなか違うもので、前者はあくまでも「主人公」が主体だったといえるのですが、今作は「女学院」という空間とそこで学ぶ生徒達が主体、という印象を受けました。
所謂「女装物」の作品とは一線を画している雰囲気です。
また、女装する理由や女装してなぜばれないのか、等についても、よく練り込まれていて(まあ、多少ご都合なところもありますけど、その辺はご愛敬)作品を楽しむのに支障のないレベル。
女学院の中で、唯一の男性であるという主人公の、他の生徒と比べた微妙な視点のズレもシナリオに生きてます。この点は前作よりも上だと思います。すごく丁寧に主人公が生み出されたことが感じられました。
前作から比べると若干重いテーマを扱ってますが、作風は大きく変わらず、それでいてこういった別の楽しみも提示してくれました。
あと、声優さんがすごかった(笑)
どの声優さんも、雰囲気にマッチしていて違和感なく楽しめます。
特にすごかったのは、主人公の声を当てている菜ノ花さくらさんで、女性を演じる少年という微妙な役柄を見事に演じています。
主人公が男女のどちらのスタンスを取っているのかが、声でも分かるのですが、違いがあることが分かりながら、どちらも同一の人物であるとわかります。
柔らかい声から、威厳に満ちた雰囲気のある声まで、実に多彩な主人公の台詞を違和感なく聞けます。声優すごいなぁ……。
総じて面白かったのですが、気になった点も。
第一に、キャラクターは非常に魅力的で、どのキャラも埋没せずに実に丁寧に描かれているのですが、設定がちゃんと生かし切れていたのか、というとちょっと微妙だった点。
一番割を食っていたのは、エルダー二人のうち、薫子だったように思います。
有り体にいうと、もう一人のエルダーたる主人公が完璧超人過ぎて、薫子が生きるシーンが乏しかったように感じました。
主人公は、容姿端麗、スキル万能なハイスペックな人として描かれているのですが、同時に論理的な思考力を有し、対人的な人間性に欠ける人物であるという設定です。
が、その後者があまりネガティブな面が描かれなかったため、ほとんどのトラブルを主人公が主導で解決してしまい、いわば相棒である薫子の見せ場があんまりないんですよね。
もうちょっと、二人の考え方の違いを表に出して、若干対立させても良かったと思いますし、ロジカルでシニカルな主人公を、情理の面で支えるみたいな描かれ方をしてもよかったと思います。
こういった点は、メインの登場人物にそれぞれ微妙にあって、もっと面白く出来そうな魅力的な描かれ方をしたキャラクター達だっただけに、とてもおしい気がしてます。
(ただ、これは作風を壊さないギリギリの線を探ったのかもしれないですが)
第二は、どうも小説が前提になっている節があるということ。
また薫子なんですが、彼女がなぜ「騎士の君」と呼ばれているのかが、容姿とカタログ(真っ直ぐな性格)以外に分かりづらくて、シーンが足りないんですよね。端的にいうと、それをユーザーに納得させるシーンが本編にない。
主人公が目立っているので余計にそう感じます。説明不足に思い、ちょっと気になりました。
小説が前提だったら、いっそのこと、パッケージに小説も同梱しておけばよかったんじゃないのかなぁ、とも思うのですが。
第三は、シナリオ上の構造として前作を踏襲している点が少し練りが不足していたかな、という点。
プールの切り抜けも、前作を彷彿とさせるところですし、生徒会の無茶な処分を生徒総会で撤回させるというところもそう。
プールはそれでもいいシーンがあったのでまだいいのですが、生徒総会で撤回させる話については、生徒会の言い分が無茶すぎるし、言い立てている副会長が力不足で微妙。(ただ、その際に処分される人が非協力的である、という前作になかった構図が入っているので全く同じではないのですが)
せっかくそこまでいったんだから、もう一歩だけ進んで欲しかった、という感じ。
でも満足でした。
しかし、主人公が素敵な作品はいいですね。
千早可愛いよ千早。



