ながったらしく、いつものように適当に。
シャープ、メディアタブレット「GALAPAGOS」の販売を終了 – MdN Design Interactive – Webデザインとグラフィックの総合情報サイト
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ああ、やっぱりね、って感じ。
いみじくも、昨年末に書いたとおりに辛抱できずに放り投げましたね。ユーザーに取ってはまったく嬉しくない展開ですし、いろんな意味で不愉快です。
昨年末、私はこう書いていたようです。
Cerisier : » いろいろ端末をさわってみて、日本の電子書籍市場について思う事
こうしていろいろと端末を使い比べてみて、ReaderやGALAPAGOSのメーカーサイトも見てみたのですが……正直、日本勢の作る電子書籍マーケットに失望してます。
たぶん日本では、日本勢の作る電子書籍マーケットが広がることは無いでしょう。このままでは、間違いなくそうなると思います。
ハード的には、GALAPAGOSはまだ手元に来てないので何とも言えないのですが、Readerはかなり潔く機能を割り切り、とにかく読むこととこのサイズにこだわったという意欲はまあ感じました。
何故か日本のモデルだけ、無線系の機能がないとか、価格がKindleよりも高いとか、いろいろあるけど、まあこんなものでしょう。はなから過度の期待はしてなかったし、長時間PDFが読めればそれでいいか、くらいの期待値でしたから、そもそも。
しかし、じゃあ、その端末に表示するべきコンテンツはどうなのか。
Reader Store-ソニーのeBookストア
ランキング|Reader Store|ソニー
これを見て、買いたいと思いますかね。
しかも、ここで購入したコンテンツは、『Readerでしか読めない』。
極端に言えば、電子書籍が売れなくて、SONYが電子書籍リーダー事業から撤退したらコンテンツを読めるデバイスはなくなるわけです。
いや、そもそも、デバイス単位で著作権管理をしてるらしいので、コンテンツとデバイスは強烈に紐付いてます。
それでいながら、例えばランキング中にある『これからの「正義」の話をしよう』であれば、Readerでしか読めない本の為に、1600円払え、とそう言ってるわけです。
GALAPAGOSはどうかと言うと、こちらはそもそもデバイス単体から直接コンテンツを購入する形式であり、コンテンツをデバイスから切り離せないのでReaderと一緒。(違いは、Readerはネットワーク経由でデバイス単体でコンテンツが買えないということ)
どちらも、SONYやシャープが、電子書籍事業を捨てたら、もう二度と読めない。保護がかかってるから。
そんな書籍を、果たして今時誰が買うのか。
私には売る気がないという意思表示をしてるようにしか見えません。
早晩、AppleやGoogleやAmazonに蹴散らされることが目に見えてます。
少なくとも、この三社の提供しているコンテンツは、一回お金を払うと、どのデバイスでも手持ちのデバイスに入れられますからね。もうこの時点で負けは確定してるようなものです。再生機器が多い方がマーケットは大きく売りやすいんですから。書籍を書く側としても、あえて日本勢の電子書籍マーケットに流す魅力はないと思います。
これは利用者側の視点で書いたのですが、果たして現実はその通りになりましたね、一年も経たず。
それも、日本では、AppleやAmazonやGoogleが電子書籍事業を本格的に始めてもいないのにです。
最低限のユーザーへの責務として後継機を出すことすらしなかった。
シャープは根本的に、このガラパゴスの事業に関して、致命的な失策をいくつも犯しています。
1.そもそもシャープは「電子書籍」ユーザーというものがどういうものかすら理解していなかった。
2.継戦の意思がなかった。
3.ガラパゴスならではの、話題性のあるコンテンツ(≠良質なコンテンツ)が揃えられなかった
4.販売戦略が的外れ。
5.無意味で無価値なデチューンを行った。
番号が若いほど、シャープの犯した失策の影響は大きいと、個人的には思います。
1.そもそもシャープは「電子書籍」ユーザーというものがどういうものかすら理解していなかった。
潜在的な電子書籍ユーザーには、現在のところ、大きく分けると2種類のカテゴリーがあります。(所謂ガジェットオタクとかは除く)
一つ目は「すでに存在している読書ユーザー」。
このユーザー層は、こと『本を読む』ということに関しては、ヘビーユーザーで、電子書籍リーダーがあろうがなかろうが、本は読む層です。もし明日、全ての電子書籍リーダーが世の中から消えたとしても、読書慣れした電子書籍リーダーの大半のユーザーがその後まったく本を読まなくなる、ということはまずあり得ません。
そして同時に、それは「読書」というものに対してそれなりの見識と習慣をすでに持っている、と言うことです。
言い換えれば、彼らに使ってもらうには、それまでの習慣を超える利便性や快適さ、あるいは読書としての効率の良さといった、「新しい読書のスタイル」を提案出来なければいけない。
単に、オンラインで本が買えます、デバイスで本が読めます、本棚がかっこよく動きます、ページを捲るアニメーション凄いでしょ、ではダメです。
新しいスタイルがある意味で一定程度成功した例はおそらく「自炊」でしょう。これは今まで「本は読むけれど、収納に困る」「物理的に数十冊も本を持ち歩くことができない」「既存の本は活かしたい」「著作権保護でがちがちに固められた電子書籍とか誰得」というニーズに一定の解を与えたからだと思います。
ところで、「すでに存在している読書ユーザー」と書きましたが、要するにこの層は、本は読み慣れているのですが、電子書籍リーダーはまだ手元に持っていない可能性があります。というよりかなりの人数がもっていないはずです。
だからこそ、彼らの納得できる、「所詮本は紙で読むのが良い」という既成概念を覆せるデバイスを提供出来れば、長くファンになってくれる可能性があります。
二つ目は「読書習慣のないユーザー」。
このユーザー層は、そもそも「電子書籍リーダーが便利だから」とか、「本を読みたいから」という理由で、電子書籍リーダーを買うことは絶対にありません。
理由は簡単です。
書店に行けば、数百円で本が買えるのに、わざわざ数万円をだして電子書籍リーダーを買って、それからさらにコンテンツを……なんてことをするわけがないからです。
だいたい高くても数千円で本一冊購入することができる書店にすら行かないのですから、数万円を出してくれる訳がない。(1万円台なら出してくれるかも)
普段本を読まないし、おそらく周りにも電子書籍リーダーのユーザーがありふれていない今現在、電子書籍リーダーのある生活を想像し、先行投資で、電子書籍リーダーを買ってくれる、等ということは、現時点では絶対に無い。
しかも、日本では米国などと違い、ほぼ全ての駅前に大なり小なり本屋が存在し、ホワイトカラーであればその就業地には大抵本屋があります。どこでも本が買えるわけです。
彼らが、電子書籍リーダーを買ってくれるとしたら、理由は一つしかありません。
その電子書籍リーダーでしか読む事ができない、その人にとって魅力的なコンテンツがあるかどうか、です。
ようはコンシューマゲーム機と一緒です。ローンチタイトルが必要です。
おそらくシャープ自身、このどちらを狙っているのかすら理解していなかったでしょう。
GALAPAGOSという端末は、前者にとってはとても満足の出来るデバイス、およびサービス仕様ではなかったし、後者の人にとってはそもそも眼中になかったでしょう。
私は、シャープの考える日本の電子書籍市場というものがどういうものか、というものを知るために外れの確率が高いとは思いつつも買いましたが、世の中そんな人ばっかりではないでしょうから。
誰に売るつもりなのかすら分からないで作った端末やサービスが売れると言うことは、そもそもないでしょう。
2.継戦の意思がなかった。
シャープは本気で電子書籍市場で自分たちが主導権を握ろう、あるいは、将来の収益をここで上げよう、と思っていたのであれば、たとえどれだけ犠牲を払ったとしても踏みとどまるべきだったし、踏みとどまれるように長期戦を覚悟して計画を組むべきだったでしょう。
なぜなら「電子書籍市場」というのは実はまだ日本では実質的な意味では存在せず、しかし数年(それがいつなのかはまだ正確には分からないですが、多分、遅くても2,3年以内)の間には必ず存在しているからです。
成立してから参入するのでは遅く、成立させる意欲がないのに手を付けようとするのは誤りであるし、そもそもそんな存在自体害悪です。
多分、シャープのこの行為によって、日本ではしばらくの間、一部の人にはこう言われるでしょう。
「日本で電子書籍市場を成立させるのは無理だ」
と。
そしてこれはシャープが犯した、最も重大な「罪」だと私は思います。
3.ガラパゴスならではの、話題性のあるコンテンツ(≠良質なコンテンツ)が揃えられなかった
どこの世界に、すでに持っている本の電子書籍版を、お高い値段で買おうとする人間がいると思っているのか、シャープや出版社に回答していただきたいものです。
もし、ヘビーユーザー層に売る目的だとしたら、最低限、書籍の価格は少なくとも、紙で売っている価格の、50%〜30%程度で売るべきでした。(人によってはもっと安くすべき、というかも知れないのですが、私は”現時点”では、この位の価格が収益限界地点だと思います。出版社を飛ばせばもうちょっと下にいけるでしょうが)
もし、ライトユーザー層に売る目的だとしたら、名前の売れている誰かに書き下ろしで本を書いてもらい、それを安価で売るべきでした。ちなみにこの場合は、「ネームバリュー」がある人であることが重要で、その人は作家でなくてもいいし、コンテンツが飛び抜けて優秀である必要すらありません。ヘビーユーザー層は見向きもしないでしょうが、日本のライトユーザー層、取りわけ、読書習慣のない人が本を買う理由というのは、ほぼ決まっています。即ち「有名人が書いているから」です。そもそも、読書習慣のない人は「書評」なんて読まないものです。彼らが読むのは、表紙や広告に書いている「名前」です。
コンシューマゲーム機で言う、わかりやすいローンチタイトルを揃えるべきだった、と言うことです。
シャープはこのどちらも選択しませんでした。前者はおそらく出版社がうんといわなかったのでしょう。交渉すらしなかったのかもしれませんが。
もしかしたらシャープは揃えたつもりだったかもしれませんね。「もしドラ」とか池上彰とかは売ってましたからね。
でも、どっちも書店いけば、二千円も出せば入手できて、おつりがかえってくるんですよ。
「もしドラ」読みたくて、GALAPAGOS買います!なんて人は、どう考えてもいないでしょう。
「もしドラ」をネタにするのだったら、なにか書き下ろしで短編とか外伝みたいなものを書いてもらったりすれば良かったのに。
4.販売戦略が的外れ。
純粋に理解に苦しむ売り方でした。
おそらくは、Appleのストアインストア形式をまねたのでしょう。
どこの家電量販店にいっても、GALAPAGOSの専用区画があって、専門の販売員がいて、時にはデモをやっていたりすることもある。
この売り方に、「シャープがそもそも電子書籍ユーザー」というのがどういうものかを理解してなかったということがあからさまに分かります。売り方が明らかに家電か、根本的に勘違いしていたからです。あれは無意味にお金かかったでしょうね。
電子書籍リーダーを購入したい、あるいはどういうものか知りたい、というユーザーにとって重要なのはどういうコンテンツが、どのように読めるのか、他の端末はどうか、です。そして、ほとんどの検討者は、その操作がパソコンのような複雑なものではないことを期待しています。
しかし、売り場に行けば、なんか専用の販売員がいるし、購入方法も複雑。店頭ではすぐに受け取れず、「購入申込書」のようなものを書き、シャープから直送されてくる販売スタイルなのです。まずここからして大半のユーザーの淡い期待に冷水を浴びせているでしょう。
要するに、「電子書籍専用端末で、販売員の説明がなければユーザーが基本操作すら理解できない」という、イメージを持たれてしまう売り方だったということです。
でも、そういうと、こういう反論があるかもしれません。
「iPadだって同じ売り方してるじゃないか!」
しかし、iPadと、GALAPAGOSには、根本的な違いがあります。
それは、iPadを購入しようとしているか、見てみたいと思うユーザーは、ほとんどはiPadに表示されるコンテンツを見に行っているわけではなくて、「iPad」そのものを見にいっているからです。だから売り場は専用のほうが都合が良い。専門に説明してくれる販売員もいた方がユーザーとしては心地が良い。
しかし、電子書籍端末は違います。
ユーザーはいくつかある電子書籍端末の中から、良さそうなものを選ぶために、売り場にいくのです。
だから、GALAPAGOSの脇には他社の端末がおいてなければ意味がないし、横に他社の端末があってそれと比較してデモ機が優位に見えるようでなければ意味がないし、ユーザーが比較しながら手に取れなければ意味がないし、販売員も数社の電子書籍端末についてユーザーに説明し、オススメの端末をニーズから読み取り語れなければ意味がない。
そして、それは家電量販店が既存のスキームでほうっておいてもやってくれたはずです。
5.無意味で無価値なデチューンを行った。
Androidベースにしていながら、機能をデチューンして、それでいて肝心のブックリーダー部分が快適ってわけでもないなら、それはデバイスの評価はあがりませんよね。
ユーザーにとってはなにが得かがまったくわからない。しかも、機能制限されているから安い、ということは無論ない。
もちろん、デチューン自体は悪くないと思います。専用端末であることはいけないわけではないのです。
実際問題、
Android 3.2搭載の7型タブレット「GALAPAGOS」が発売–記念イベントも開催 – CNET Japan
これとか、もう「電子書籍端末」とは見てもらえないでしょうね。「その他大勢」のタブレットによるレッドオーシャンにようこそ!って感じです。
おそらく、デチューンされていたとしても、電子書籍リーダーとして飛び抜けた快適性があったら、そして自炊派もその快適性を活用することができたなら評価はかなり違っていたでしょう。
しかし、現実はi文庫のほうが遙かに快適、という、ユーザーにとってはなんでデチューンされているのかわけがわからない状況だったわけです。
これだけ失策を重ねていて、爆発的に売れるなんてことは、どう考えてもあり得ないでしょう。
正直言えば、シャープは、この決断により、とてつもない罪過を犯していると思います。
まず、そもそものGALAPAGOSユーザーに対しての無責任。
先のない(継続する意思のない)デバイスをユーザーに買わせて、一年経たずに販売をやめた、という無責任さです。
売れようが売れまいが、最低でも2〜3年は、次端末のリリース計画も含めて、最初から計画しておき、その通りに遂行すべきでした。ロードマップがなにも無かったとしか思えない。
フォーマットも独自で、ユーザーとしては後継機も出ない以上、近い将来読めなくなることは確定的です。(リチウム電池を使っている以上、耐用限界は早い。オマケに、購入直後ですらお世辞にもバッテリーの持ちがいいとはいえない)
シャープは実質的にユーザーの蔵書を無価値なものにした、ということになります。
そして、もっとも大きいと思うものが、シャープが勝手に鳴り物入りで参入し、自爆してこけた、というか勝手に収益化できないからと撤退したせいで「日本で電子書籍市場を成立させるのは無理だ」という論に、一つの例示を与えてしまったことです。
おそらくその結果はこうなると思います。
日本では、電子書籍のマーケットを自分たちで作ることは出来ず、早晩AppleやAmazonが成立させ、日本に持ち込むであろう電子書籍のスキームが国内でもデファクトスタンダートになります。この枠組を日本のメーカーが後からひっくり返すのは不可能でしょう。
シャープが真抜けたことをしでかしたせいで、ほぼこれは確定したと思います。「日本のメーカーが独自に展開しようとする電子書籍市場は、あっさり切り捨てられる可能性がある」とパブリッシャーは受け取ります。だれも本気で協力しなくなるでしょう。メーカーの都合で即死させられる可能性が高い分野に踏み込んできてくれるわけはありません。
正直こっちの罪過のほうが大きいし、本当に残念です。
シャープ、「GALAPAGOSをやめるわけではない」–初期モデル販売終了で – CNET Japan
あえて、良くない言葉を使うのですが、どの顔を下げてこんなコトをいっているのか。
こんなことをしでかしておいて、後継機のロードマップすらないのに、「やめるわけではない」なんて言葉を信用してもらえると思っているのだとしたら、認識が甘すぎる。
シャープは現実を理解していない。
もうシャープは電子書籍事業について、主導していく資格を失ったんですよ。