2011.05.11

遊びの品格
著者/訳者:川北 義則
出版社:中経出版( 2009-05-30 )
単行本 ( 239 ページ )
男性向けの本らしい。「洗練された大人の遊び方」だそうな。
「品格」という、ちょっと前に新書でスタンプのようにつけられた書名ですが、内容との関連はよくわからない。
なかなかおもしろいと言えば、おもしろい。
ようは、
「忙しくても遊べ」
「真剣度が重要」
「楽しめるものをやれ」
「周りからみて見苦しくない遊び方をしろ」
という感じ。ああ、そのあたりが「品格」か、一応。
ただ、分野が少し広すぎてあまり参考にはならないんじゃないかな、という印象を感じました。
遊び心、趣味、作法、恋愛、お金、芸術、と6つのパートに分けて著者の持論を展開していきますが、拡散しすぎている気はします。とはいえ、前時代のダンディズムみたいなものは感じました。少なくとも確かに「下品」ではない。
それを趣味というべきか、遊びというべきかはわからないですが、確かに、生業とは異なる、利得や死活に関わらない何かはあった方が、きっと人生豊かに生きられるのでしょうね。
現代は無用に忙しすぎる気もしますし、「忙しくても遊ぶ」とか「真剣に遊ぶ」とかは結構重要なんだろうなぁ……
とはいえ、真剣に遊ぶべき対象を見つけるのはなかなかに難しいものですが。
私とかだと、趣味欄は「読書」とか書くべきなのかもしれないですが、趣味って言うとやっぱちがう気がします。別に楽しみのために読んでいるか、というと、ちょっと違うし(楽しくないわけではない)呼吸するように読んでいるというか、まあ、習慣みたいなものでもあるし。当然読書中はつねに真剣に読んでるわけでもないし。なかなか真剣になにかやるというのも難しいものです。
なかなか良本でした。
「コピーライター」としての読み方として、よく本に取り組みじっくりと書かれている言葉を自分の中で解釈することを説いています。
その「解釈」も実に多彩。他のコピーライターの研ぎ澄まされた文章を読み解くこともあれば、源氏物語の現代語訳をずらりならべて、同じものから出自したはずの違うものに思いを巡らせる。
HowTo本のようでいて、全然HowTo本ではなく、普遍性よりも、著者の感性を存分に出した、方法論というよりはエッセイに近い本です。
さりとて役に立たぬかといえばそんなこともない。その文章の捉え方はとても鋭いし、「ああ、こういう読み方もあるのか」とか「こういう作品もあったのか」という、様々なことに気づかせてくれました。
ところで、この本ではいわゆる「速読」はイカンと言っているわけです。
個人的には、本の読み方、というのはいわば道具のようなもので、時々によって読み方は変わって当然だと思います。速読するときもあれば、熟読するときもある。
ただ、「コピーライター」としての読み方としては、たぶんこの方のおっしゃっていることはかなり正しいんだろうな、と思います。言葉というものに真剣に向き合い、練り上げられた言語へのセンスがあってこそ、できる商売なんでしょうね。
私にはとうていできる気がしない(笑)
2011.05.10
異様に細かい。
一般人向けではないです。例えば孫子とかを題材にした、ビジネス書のような一見額面は美しいけれど、さて適用する場合にどうすればいいのか、等という精神論的記述は一切無い。書き漏れているとかそういうことではなく、はじめっからない(笑)
本職の指揮官か、もしくはミリタリーマニア向けの本。
書いてあることが正しいのかどうかは、正直よくわかりません。
非常に細かく、微に入り細に入っていることは分かりますが。
例えば靴に唐辛子を放り込んでおくと凍傷が防げる、とか。
2011.05.09
結構わかりやすいです。
資料性は微妙。
体型から服装、塗りまでざっと解説してあります。一冊に結構盛り込んでいる関係で、内容は結構浅いですが入門書としてはいいんじゃないかと思います。
一応塗りの解説も載ってますが、ソフトの解説はほとんどなかったりします。
○目次
Chapter 01 基本ボディの描き方
Chapter 02 髪型の描き方
Chapter 03 下着と水着を描く
Chapter 04 制服を描く
Chapter 05 ファンタジー衣装を描く
Chapter 06 影と効果の入れ方
Chapter 07 萌えポイントの解説つき!萌えるシチュエーション集
Chapter 08 ポーズをなぞって描いてみよう!萌えポーズ集
Chapter 09 コミックスタジオを使って描く
Chapter 10 萌える肌色の塗り方
2011.05.08
刊行年が古いので、最新の暗号技術・事情については当然ながら記載はありません。
所謂シーザー暗号(換字式暗号)から、楕円曲線暗号まで、暗号の歴史とその技術的な説明がされています。雰囲気としてはブルーバックスに近いかもしれないです。技術的な箇所を読むのは骨が折れるが、専門の人でなくても読めるようになっています。
しかし、この本は1900年代の最後に書かれた本ですが、意外と隔世の感を覚える箇所と、相変らず前世紀から変わっていないものとがあって不思議な感じがします。
楕円曲線暗号はもう解読されたんだったっけかな(うろ覚えなんでそうじゃないかもしれない)
2011.05.07
結構面白かったです。
個人的には同意出来ない点もいくつかありましたが、大意としては納得できる、同意出来る内容です。
起業家は一つの職業であると同時に「心のあり方」でもある。
と冒頭に書いてあるのですが、これを見ると「おいおい、精神論かよ」と思わなくもないかもしれません。しかし、実際の所、起業家というのは精神論の要素はかなり大きい。
順風満帆で事業が継続出来る事なんてほとんどない。好調の時と不調の時で、周囲の人の反応は劇的に変わる。不調時にでも支払うものは支払わないといけない(特に、従業員の給料や、取引先に支払うお金)。これは、正直いってかなり消耗する(笑)。
じゃあそういうことに耐えられるタフさがあれば起業家になれるのか、と言えばたぶんそれも違う。
この本にも書いて有るとおり、「お金を稼ぐだけ」なら、起業家になんかなる必要がなく、もっと楽勝に稼げる。ようは、「消耗する状況に耐え続ける」必要なんてなく、うまくいかない事業はさっさと畳んで起業家なんて辞める、という選択を選び取るのに、難しいことでもおかしなことでもなんでもなかったりする。
それでもなお、起業家に意味があるのは、やっぱり、やりたい、と思った「使命」を果たすこと、にあるんだと思う。
やっぱり人間一人では何も出来ないし、じゃあ、環境保護団体のようにシュプレヒコールを上げていれば良いのか、といえばそれも違う。言わなければなにも変わらないかもしれないが、言うだけでも何も変わらない。人が出来る事にはやはり限りがあるから、他の人の力を借りたりするのには現代では起業がいいんだろうな、とは思う。まあ、中には「政府の補助金で食っていこう」なんてのもいるのかも知れないけれど。
(誤解無きように一応書いておきますが、環境保護団体が無意味な団体だ、とは言ってはいません。やはり問題を指摘する人間は必要だと思いますので)
結局の所、いろいろ理屈をつけても、最終的に根幹になるのはやっぱり「起業家として何をしたいのか」と言うことであって、「起業家として何ができるのか」はその後に来る。
ここが従業員との最大の違いで、誰も起業家に最終的目標は与えてくれない。常に自分で考える必要がある。そして、ほとんどの場合は、従業員にも目標を与えていかなければいけない。少なくとも安定期に入るまで、起業家のメンタリティは求心力と方向性の核になり外れる事はない。
封建制の時代と違って、起業家も従業員も、「その仕事」にしがみつく必要がない以上、義務以上のなにか、が無ければやっぱり起業は成功しえないんだと思う。
この本でもほとんどはそうした精神的な要素について語られてる。
起業したい、と言う人は、法人設立の前に読んでおくと良いかもしれない。
もし、この本を読んで、「内容が抽象的すぎて漠然としている」と思ったとしたら、たぶん然るべき覚悟が出来てないんだと思います。

世界の文字の図典 普及版
著者/訳者:世界の文字研究会
出版社:吉川弘文館( 2009-05-20 )
単行本 ( 605 ページ )
世界中の文字を網羅した本。
全てではないけれど、一冊に、しかもこの分量にこれだけの図版や文字の解説を載せた著者、編者の方の努力には実に頭が下がります。
特に文字の変遷について詳しく、エジプト、フェニキア由来の文字の変遷については、非常に克明に記載されています。
また、言語や文字でつきものの、「類似点」と「相違点」についての解説も詳しく、私のような言語学の素人でも理解出来るように書かれています。
非常に念のいった解説で、図版だけで1200点を数え、漢字系文字については全605ページのうち、230ページ近くを割いている周到さです。さりとて、他が「薄い」と感じる訳でもありません。
しかし、こうしてみると、世界的には漢字というのはかなり特殊な字ですね。
エジプト由来のローマ字諸字などの変遷を見ると、「複雑な文字体系を簡単にしていき、最終的に表音に行き着く」というのが文字の発達の流れのようですが、未だ漢字は圧倒的な字数を誇ります。
最も本場中国でも、「漢字が複雑すぎる」として、簡体字を作ったり、あるいは韓国などでは漢字から離れていっている、など、複雑な文字はより簡単になっていくのが流れなんでしょうね……。
日本語の文字数は、そういう意味では相当多いので、今後どうなっていくのか気になる所です。
2011.05.06

週刊江戸の六十七号。
表紙は「名所江戸百景」(歌川広重)より『よし原日本堤』。
メインテーマは1808年に長崎に現れた英国船フェートン号事件。
いわば幕末期の動乱前夜、といった感じでしょうか。
ところで、このフェートン号事件の時に、オランダ商館長だった、ヘンドリック・ドゥーフは、本国がフランスに併合され消滅してしまい結局帰るに帰れず、20年近くも異国の地、日本に暮らし、ようやくにして帰国を果たした、という人物です。
彼は運良く帰国を果たすことができたのですが、世界中でドンパチやっていた当時のヨーロッパ事情からするとおそらく、こういった人は多数いて、首尾よく帰国できず異国の地で果てた人たちは結構多かったんだろうなぁ……とか余計なことを考えたりして。
目次
○読み解き江戸時代 1808年
屈辱的な対応を迫られた「フェートン号事件」
幕府の外交を一手に担ってきた長崎・出島。そこに現れた1隻の異国船が、問題を巻き起こす。
【戦略と戦術】
フェートン号事件前後における長崎警備
【視点を変えて】
長崎警備の執念から生まれた佐賀藩の近代化
【人物・群像フォーカス】
対外情勢の転換期に生きた通詞、本木正栄
○街道を行く
[甲州道中(13)]下花咲宿~黒野田宿
[中山道(16)(17)]松井田宿・坂本宿
○三都&町物語
【江戸】 窯の煙が立ち上る、今戸
【大坂】 徳川家御用達の瓦職人の町、瓦屋町
○日本全国「藩」事情
妙案で藩の財政を立て直す「天童藩」
もっと知りたい天童藩
○暮らし大全
【伝】 天才絵師・北斎の魅力
北斎が残した数多くの作品の世界に迫る。
【衣】 庶民の絹織物、紬の魅力
農民に許された絹織物・紬は、全国に多様な広がりを見せた。
【食】 江戸が生んだ名物、佃煮
佃煮は佃島で誕生した江戸の味。
○偉人・奇人列伝
沢田名垂
典雅なポルノグラフィまで書いた和学のオーソリティ
○『名所江戸百景』 今昔
よし原日本堤
とっかかりにはいいかも。
「なぞって」とはあるけれど、ドリル的な要素はあんまり多くない。
作例が大雑把過ぎるので、たぶんこの1冊だけだとなかなか難しいかも。あえて手元に持っておくべきかは微妙。
作例のパースがきつすぎてかえって「不自然」に見える箇所もあったりなんだり。

絵手紙の力
著者/訳者:木虎 徹雄
出版社:宮帯出版社( 2011-02 )
単行本 ( 94 ページ )
まあ、「読んだ」っていうと微妙なんですが。
著者の絵手紙を80枚ほど掲載した本。
多様な筆致、題材に溢れていて、絵手紙を描いたそのときの光景を想起させる、そんな作品で溢れています。
読むと言うより、見て楽しむ本です。