2011.06.14
いいことは書いてあるんだけど:「朝30分」を続けなさい!:読んだ本
割といいことは書いてあります。ターゲットが明らかに間違ってますが。
とりあえず、書いてある事で、良い点としては、
・成果は結局のところ、「効率」だけではなく「物量」が関係する。ようは、「短時間で高効率」というのは、母数が少なすぎて失敗に終わる確率が高い。(本書ではもうちょっと違う言い回しで書かれている)
・強力な動機がないと、新しい習慣は身につかない。一般的には動機は、「自分の為」ではなく「他人の為」のほうが強い。たとえば、家族のため、子供のため、など。
・同一のことを繰り返し反復して学ぶほうが、学習効率は高い。
・機会は、準備をしていなければつかめない。
・だからひたすら勉強しろ。
あたりでしょうか。というか、基本的にはこれしか書いてありません。一冊の中で手をかえ品をかえこれが繰り返し説明されています。
その手法自体は、別に悪いとは思いません。まあ、読者にちょっと不誠実だとは思いますが。同じ内容を引き延ばして書いている、ということですから。
とはいえ、読者に、重要な点を刷り込む手法としては間違ってはいないでしょう。途中で本を投げられないだけの読ませる楽しさがあれば。
難点はそもそも本のターゲットが間違っている、というか、誰がターゲットなのか解らない、という点です。
たとえば、
誰もあなたに、「勉強してください」とお願いしていないのですし。勉強しなければ当然、社会で脱落していく。そして、脱落していけばいい。自然界の一部である人間社会でも、強者が生き残り、弱者が脱落するという自然淘汰のシステムが存在します。
とか、
脱落するのはあなたの自由。
実は負け組は社会に必要な存在だって知っていましたか? なぜなら、勝ち組の肥やしになってくれるからです。全員が勝ち組になることはまずありません。負け組がいるから勝ち組が存在するのです。別の言い方をすると、勝ち組が存在するためには、負け組の存在が必須条件なのです。勝ち組と負け組のグループがあり、ある人は進んで負け組のグループに加わることを決めただけ。
ですから負け組の人がいたら、優しい目で見守ってあげましょう。「負け組になることを選んでくれてありがとう」と。たった朝30分の勉強をコツコツ続けるだけだったのに。
とか。
まあ、こういう雰囲気です。
ちなみに、ことさらセンセーショナルなところを抜き出した訳ではありませんよ。全編に渡ってこれらの表現はあります。
おそらくはこれは著者なりの誠意の形なのでしょう。叱咤激励することで勉強する気になってもらおう、とか。まあ、本気でこう書いた、という可能性もありますね。もしそうだとしたら、本の内容がいいとか悪いとか以前の問題ですが。
ただ、彼我が見えていない気がします。
たとえば、この本の中で、こういうエピソードが紹介されています。
私の記憶が正しければ、京セラ株式会社の創立者・稲森和夫氏の著書に、本田技研本田技研工業株式会社の創業者・本田宗一郎氏に関するエピソードが掲載されていました。
稲森氏は、経営の勉強がしたくて、ある経営者向けの泊まり込みセミナーに参加したそうです。そのセミナーの目玉は本田宗一郎氏の講演でした。勉強会の後に宴会場で出席者が食事を済ませて同氏の登場を待っていても、本田氏はなかなか現れません。そして、予定の時間よりもずいぶん遅れて登場した本田氏。着用していたのは、油まみれの作業服だったそうです。
そして、開口一番「こんなところで遊んでいる暇があったら、実際に会社を経営して経営の勉強をしろ。俺は会社の経営の仕方など、誰からも教わったことはない。会社に帰って仕事をしろ。ばかたれが!」
これは、本田宗一郎氏だから通用する話であって、その辺の自営業者や中小の経営者が同じことをやっても何の感銘も与えない話です。
そういう教授法は、たいてい単に教える側の「あえて厳しくしているんだ!」という自己満足であって、成果は上がらない。
大枚はたいてセミナーに行く人のように、教わる側が前のめりで話を聞きにきている状況ならまだしも、そうでない場合は、まず話を聞く気にさせないと教授もへったくれもない。書籍を買う読者がどちらに属するのか、と言えば、明らかに後者です。話を聞く気にさせる気がないのであれば、読者に1300円、確信的に無駄に捨てさせたということです。内容がいい悪い以前の問題で、商売をする人間としての誠意がそこにはないように感じます。文芸やエッセイならともかく。
誰にこの本読ませたいのか。
膨大な時間を勉強に費やしたのが著者の自信の一つらしいですが、少なくともそこにはマーケティングとかその辺は入ってなかったのかもしれません。まあ、挑戦的なところが多いのは嫌いではないですが。
きっと素直なだけなのでしょう。でないと、そもそも「私の記憶が正しければ」とか、「ずさんな仕事です」と言わんばかりのことをわざわざ言ってるのが解らないですし。調べて書けばいいだけの話で、調べて書いても間違ってることがあるというのに。セミナーとかの発言なら、記憶頼みも仕方ないけれど、ソースが稲森氏の著書でそれはなかろうて。
○目次
第1章 当たり前のことを続ける人が勝つ!
第2章 絶対的効果が出る朝勉強のススメ
第3章 成功する人はこの勉強法をやっている
第4章 朝勉強を続けるための仕組みづくり
第5章 人生の段階別・勉強時間の捻出法
第6章 運を開く勉強法・考え方
第7章 自己啓発の落とし穴


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